ある日、 おばあさん が
川 で せんたく を して いたら、
つんぶらこ つんぶらこ
もも が ながれて きました。
ひろって
たべたら、 なんとも おいしくて
ほっぺた が おちそう。 おじいさん にも
たべさせて あげたい と おもって、
「うまい もも こっちゃ こい。
にがい もも あっちゃ いけ。」
と いったら、
どんぶらこ どんぶらこ
でっかい もも が ながれて きました。
おばあさん は よろこんで、 もも を
いえ に もって かえりました。
ゆうがた おじいさん が 山 から
もどって きました。
「おじいさん、 おじいさん、 うまい もも を
ひろった で めしあがれ。」
おばあさん が きろう と したら、
もも が じゃくっ と われ、
ほぎゃあ ほぎゃあ。
ところが、 その ころ、 おに ども が ちょくちょく 村(むら) へ やってきて は わるい こと を して いました。 「よし、 おら が たいじ してやる。」
ある日、 ももたろう は おじいさん と おばあさん の
まえに りょう手 を ついて いいました。
「おにがしま へ おにたいじ に いく から、 日本一 の
きびだんご を つくって くれ。」
「なに いう だ。 いくら 力 が つよく ても
おまえ の かてる あいて じゃない。」
ふたり は びっくり して とめました が、
ももたろう は しょうち しません。
「そんなら しかたが ない。」
おばあさん は たべれば 百人力の でる
日本一 の きびだんご を つくって くれました。
おじいさん は あたらしい きもの を だし、
はた まで つくって くれました。
きりりと はちまき を しめ、 かたな を こし に
さしたら、 つよ そうな わかもの に なりました。
「まけたら、 しょうちせん ぞ。」
「しっかり やって くるん だよ。」
おじいさん と おばあさん は なみだ を
こらえて いいました。
「では、 いってまいります。」 ももたろう は むね を はり、 ぐいと くちびる を かみました。
村はずれ まで くる と いぬ が きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、
どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「日本一 の きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、 おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」
山 の ほう へ いく と さる が きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、 どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「日本一 の きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、 おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」
山 の おく へ いく と きじ が
とんで きました。
「ももたろう さん、 ももたろう さん、
どこ へ いきなさる。」
「おにがしま へ おにたいじ に。」
「こし に つけた もの は なんでござる。」
「日本一 の きびだんご。」
「そんなら ひとつ くだされ、
おとも します。」
「よし、 やろう。 ついて こい。」
ももたろう は いぬ と さる と きじ を ひきつれ、 いよいよ おにがしま へ しゅっぱつ しました。 山 を こえ、 たに を こえ、 うみ に でる と、 おに の ふね が ありました。 ももたろう たち は ふね に のりこみました。
ふね は なみ を けたてて ぐいぐい
すすんで いきます。
「おにがしま が みえた ぞ。」
きじ が さけびました。
「おら は 日本一 の ももたろう。
おに ども かくご せい。」
ももたろう は かたな を ぬいて
とびこみました。
「なに を こしゃくな こぞう め が。」
おに ども は かなぼう を ふりあげ、
ももたろう に おそい かかって きました。
きじ は くちばし で つっつき、 さる は つめ で ひっかき、 いぬ は かみつきました。
ももたろう は、 きってきって きりまくりました。 きびだんご を たべて いる ので 百人力 です。
とうとう おに ども は 一ぴき のこらず やっつけられました。 「まいった。 いのち ばかり は おたすけ を。」 おに の おやぶん は りょう手 を ついて あやまりました。
「もう 二ど と わるい こと は しない。
たからもの を ぜんぶ わたす から
かんべん してくれ。」
「よし、 それなら たすけて やろう。」
ももたろう は たからもの を くるま に つんで えんやら えんやら 村 へ もどって きました。 「やっぱり おら たち の ももたろう は 日本一。」 おじいさん と おばあさん が いったら 村 の ひと たち も 手 を たたいて、 「日本一 の ももたろう。」 と いいました。
ももたろう は 村 の ひと にも たからもの を わけて あげ、 おじいさん と おばあさん と 三人 で いつまでも しあわせ に くらしました。
ほれほれ、 みんな も しっかり まんま を たべて ももたろう みたい に ならなくちゃ のう。